人生100年時代と言われる中、「長生きすること」自体が目的になっていませんか?
東京大学名誉教授で救急医でもある矢作直樹氏は、著書『長生きにこだわらない』の中で、〈“あと何年”と逆算して生きることは厚かましい〉と語ります。
この考え方は、日本古来の神道思想に通じる「中今(なかいま)」──過去や未来にとらわれず、“今この瞬間”を生きるという視点から来ています。
<h3>「今」に集中することが、人生を楽にする</h3>
例えばマラソンで「あと何キロある」と考えると、途端に苦しくなる。それと同じように、人生でも「あと○年生きられる」と未来ばかりを気にすると、今を楽しめなくなるのです。
矢作氏は「五体満足で今日を迎えられたことにまず感謝しよう」と語ります。救急医として多くの“想定外”に向き合ってきたからこその言葉には、重みがあります。
<h3>スマートエイジングという発想</h3>
本書では「老化」をネガティブにとらえるのではなく、「加齢によって視野が広がり、人生が豊かになる」とする“スマートエイジング”という考え方が紹介されます。
著者は、アンチエイジングよりも「自分の体の声に耳を傾けること」や「感謝しながら体を動かすこと」が大切だと説きます。
日常の中では、特別な運動ではなく、「家事のついでに体を動かす」「片足立ちの練習をする」「ゆっくり呼吸して動く」など、シンプルな習慣が紹介されています。
<h3>「悩まない」という選択</h3>
悩み・嫉妬・不満——現代人を苦しめるこれらの感情。矢作氏は「それらを持つこと自体が不要であり、視点を変えることで解放される」と説きます。
特に心に残るのが〈役に立つかどうかで物事を判断しなくてよい〉という言葉。やりたいことをただ「やる」ことが、自分らしく生きることなのです。
<h3>最期まで“自分らしく”生きるヒント</h3>
本書は、「死をどう迎えるか」というテーマにも踏み込んでいます。「平穏死」「自然に任せた最期」という考えは、医療依存に対する警鐘でもあります。
「定年」は会社が決めても、「引退」は自分で決めていい。そんな力強いメッセージも印象的です。
<h3>まとめ|今を楽しむ、それが本当の“長生き”</h3>
『長生きにこだわらない』は、延命よりも「どう生ききるか」を教えてくれる一冊。
「今この瞬間に感謝する」──それが悩みのない、穏やかな生き方への第一歩かもしれません。
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