親なきあと準備ガイド|具体的に「託せる人」を探す【第4回】

【親なきあと準備ガイド】シリーズのステップ4は、『お金・住まい・ケアの対策を考える【第3回】』に続き『具体的に「託せる人」を探す』です。

「親なきあと」に向けた準備で避けて通れないのが、**「誰に何を託すか」**というテーマです。 お金の管理や契約手続き、日常的な見守りまで、親に代わって対応してくれる“託す人”を制度と人の両面から考えることが必要です。


🔶 託すべき3つの役割

項目具体的な役割
お金の管理年金や手当の受け取り、生活費の支払い、医療費の管理など
手続き・契約の代行福祉サービスの利用契約、入退院手続き、行政手続きの同行など
精神的な支え・相談相手不安を話せる相手、意思決定のサポート、危機時の判断

これらを一人の人に任せるのは現実的ではないため、複数の人・制度で役割分担することが望まれます。


🔷 制度で支える方法

① 成年後見制度

  • 判断能力が低下した障害者に対して、法的に財産管理や契約の代理をする制度。
  • 家庭裁判所が選任する「法定後見」と、元気なうちに契約する「任意後見」がある。

📝事例:

「将来的に判断能力が心配なので、親が元気なうちに“任意後見契約”を司法書士と結びました」

🔗 参考:法務省 成年後見制度 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00002.html

② 日常生活自立支援事業(地域福祉権利擁護事業)

  • 判断能力に不安のある人が、日常生活に必要な金銭管理や福祉サービス利用手続き等を受けられる仕組み。
  • 社会福祉協議会が運営し、安価で実用性が高い。

📝事例:

「後見はまだ不要だが、日常的な通帳管理や支払いを社協に依頼。本人も安心している」

🔗 参考:全国社会福祉協議会(生活支援) https://www.shakyo.or.jp/gyomu/jiritsu/

③ 信託銀行・財産管理契約

  • 遺言や信託契約により、生活費などの支払いを銀行などの金融機関が行うしくみ。
  • 信託契約で“誰にどうやって”お金を使うかを親があらかじめ指定できる。

🔗 参考:三井住友信託銀行「福祉型信託」 https://www.smtb.jp/personal/entrustment/life/fukushi/


🔷 人に託す方法(家族・親族・専門家・NPO)

① 親族・きょうだい

  • 信頼できる身内がいれば、生活支援や財産管理の一部を任せられる。
  • ただし、「責任の重さ」や「継続性の担保」が課題になる場合も。

📝注意点:

「きょうだいに“頼られることが前提”にならないよう、感謝と役割の共有が大切です」

② 専門職(司法書士・社労士・行政書士)

  • 契約や財産管理の専門家と契約し、後見人や信託契約の受託者として関与してもらう方法。
  • 一部NPOや一般社団法人が、継続的に支援する体制を整えています。

🔗 例:一般社団法人親なきあと相談サポート協会 https://oyanaki-support.com/

③ NPO・市民後見人・親なきあと相談室

  • 市民後見人養成講座などを修了した人材が、第三者として支援に関わる仕組みもあります。
  • 一部NPO法人では「身元保証」「生活支援」「死後事務」までカバーするプランを提供中。

📝事例:

「親なきあと相談室と連携して、信託+後見+緊急時対応の“3点セット契約”を結びました」


🧭 「託す人」がいないときの考え方と行動

「頼れる人がいない」という方も少なくありません。その場合は:

  1. 地元の社協や相談支援専門員に“話すこと”から始める
  2. 福祉・法律の専門家に“制度的選択肢”を聞く
  3. 信頼できる団体・NPOに“小さな相談”から接点を持つ

🌱「託す人」は、探すだけでなく“育てていく”という視点も大切です。


🔍 参考リンク・情報源

💬 最後に

「託す人」が見つからないままにしておくと、不安ばかりが膨らんでしまいます。 ですが、制度と人の組み合わせによって、“つなぐ仕組み”は作れるのです。

親が元気なうちに動くことで、自分自身の“終活”も一緒に整理できる。 ——まさに“親あるうちが準備のチャンス”なのです。

次回は「ステップ5:『今からできる』小さな一歩を踏み出す」に進みます。

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