【親なきあと準備ガイド】シリーズのステップ2は、障害者の将来設計は「見える化」に続き『同じ立場の親の声を知る』です。
「“うちもそうだった”と誰かに言われて、ほっとしました」 ——これは実際に、相談支援機関や親の会を利用された方からよく聞かれる言葉です。
「親なきあと」の不安は、誰にとっても共通するもの。でもそれは、多くの場合「一人で抱えてしまっている」ことが問題なのです。
🔶 多くの親が抱える共通の悩みと不安
障害のある子をもつ親御さんの声を集約すると、次のような悩みが多く見られます:
よくある悩み | 具体的な内容 |
経済的な不安 | 「年金だけで生活できる?」「子どもの貯金が心もとない」 |
住まいの問題 | 「親がいなくなったらどこで暮らすの?」「施設に入れる?待機はあるの?」 |
手続き・契約 | 「本人名義で何ができる?銀行?保険?」「成年後見って難しそう」 |
兄弟との関係 | 「きょうだいには迷惑をかけたくないけど頼らざるを得ない」 |
情報不足 | 「誰に相談すればいいかわからない」「制度が難しすぎる」 |
これらは、親御さん同士の会話の中でよく出てくる“共通項”です。「自分だけが特別に困っているわけではない」と実感することで、気持ちが軽くなる方も多いです。
🔷 統計データから見る“親の不安”
「親なきあと」に関する各種調査からも、不安の実態が見えてきます。
- 95.3%の親が将来に対して何らかの不安を感じている(岡崎市社会福祉協議会調査)
- 準備をしている家庭は全体の2〜3割にとどまる(親なきあと相談室調査ほか)
出典:
- https://okazaki-shakyo.jp/wordpress/wp-content/uploads/2022/05/oyanakiato-chousa2022.pdf
- https://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2022/05/0501.html
🧭 同じ立場の声が聞ける場とは?
1. 【地域の親の会】
- 市町村単位や学校単位で組織されている「保護者会」や「障害児・者を守る会」など
- 定例会や交流会、講演会などを通じて、情報や経験を共有
📝 事例:
「親なきあとを考える講座で、同じ年頃のお子さんを持つお母さんと話せて、制度の使い方も教えてもらいました」
2. 【親なきあと相談室・NPO団体】
- 例:NPO法人 親なきあと相談室/一般社団法人 親なきあと相談サポート協会など
- 専門職(行政書士・社労士・後見人など)と保護者が連携して活動
- 全国でセミナー・面談・個別相談を開催
📝 事例:
「成年後見制度は敷居が高いと思っていたけど、相談室の方に具体例で教えてもらい、信託や遺言の話まで理解できました」
3. 【SNSやオンライン交流会】
- FacebookグループやLINEオープンチャットで気軽につながれる
- 地域を超えて同じ状況の親とリアルタイムで話せる
📝 注意点:
情報の正確性には注意が必要。信頼できる団体が運営しているかどうかを確認すること。
💡 親の声が与えるポジティブな影響
- 「自分だけじゃない」と思えることが心理的な安心につながる
- 同じ悩みでも、他の家庭の工夫を知ることで“やってみよう”という気持ちが生まれる
- 制度や法律の“使い方”が具体的にイメージできるようになる
🌱 「あの人ができたなら、うちにもできるかもしれない」——この感覚が、次のステップへの原動力になります。
📘 参考資料・データリンク
- 親なきあとに関する意識調査(岡崎市社協)PDF: https://okazaki-shakyo.jp/wordpress/wp-content/uploads/2022/05/oyanakiato-chousa2022.pdf
- 親なきあと相談室(NPO法人)公式: https://www.oyanakiato.com/
- 一般社団法人親なきあと相談サポート協会: https://oyanaki-support.com/
💬 最後に
不安は、知らないこと・話せないことから生まれます。同じ境遇の親とつながり、「共に悩み、共に考える場」を持つことが、心の支えになります。
次回は「ステップ3:お金・住まい・ケアの対策を考える」に進みます。
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